ラウル・ロメロの全盛期

ラウル・ロメロ(Raul Romero Luna)

マスク職人はいつも進化し続けます。

しかし、老化からかその陰りもあるのも事実です。

本日はラウルロメロの良い時期はいつかを考えてみましょう。

年代毎の分類

1970年代後期から82年頃までがタグ無し期

この頃のマスクはお兄さんの『ビクトル・ロメロ』さんと共同製作していた事もあり

まだ自分の確固たるスタイルが確立されていない時期です。

私が彼の工房に行き、お話をさせて頂いた時は、本当にお兄さんの事を尊敬しその作品を敬意を払い今の自分もお兄さんのお陰との事です。

82年頃にタグが付く

80年代のラウルが文句なしに日本では人気があります。それは全日のドスカラスを初めとするスーパースターが着用実績があり、素材、縫製において芸術性が高い物が多いです。

旧ラメ、テルレンカなどの超貴重な生地を使用している良いマスクが多いです。

お宝マスクもこの時代が多いです。

Mask bankさんから素材の頂点。

90年代

90年代のマスクは何故かあまり見ませんが、経験も増えて良い全盛期の始まりです。素材も裏張りはスポル、中には貴重な生地もチラホラあります。

80年代の雰囲気を継承しつつ、自分のスタイルの確立に向けている時期です。

市場にはあまり90年代のマスクは少なく、日本では貴重かもしれません、プエブラもそうでしたが、90年代はルチャの低迷期であまりマスク需要が無かったのかもしれません。

喉テープのステッチが2本入っている物がありました。

真の全盛期2000年から2010年

2000年代になると、貴重な生地は既に無く、スポル生地が主な生地なります。しかし、この時期が本当の全盛期に思います。

喉テープにタグが付きます。

勿論ビンテージは文句なしに素晴らしいですが、彼の信念の『丈夫なマスク』の頂点が2000年です。

まずは、スポルは2重生地です。スプレー糊を使わないので端を縫って合わせています。

そして、目と口と紐通しは『二重革』になっています。おまけにベロの中に一枚生地を咬ませているので分厚く、作りは重厚その物です。

鼻の巻き込み処理をするのですが、鼻にも革を使っている様です。

糸も太く、縫いのピッチも短いです。見れば見る程手間が掛かっているのがわかります。

この頃はまだスポルが流通しているが、少しずつ貴重になってきていたのでしょう。

裏張りが『スポルTOC』になっている事があります。

年齢も今から20年前でまだ目も体も効く最後の全盛期だと思います。

それ以降2010年から2020年代

徐々に後退期です。

後期になればなるほど、作りがチープになってしまいます。

生地がシングルジャージ生地になり、ステッチの乱れがあります。

『二重革』は健在です。

大きな変化としては、どのマスクも同じような型紙を使うようになる。

その為に、ドスカラスの本体がかなり大きくなり、ブカブカになってしまいます。

私が訪ねた頃には既に高齢で、素材の調達が大変でメキシコ中心部まで行き、素材を吟味するという事が難しい様です。実際にエナメル革の調達が無理で製作ができない事がありました。

人は誰でも『老い』が来ます。気力も熱量も低くなります。

これは仕方がない事で心身共にエネルギーが低くなりますが、生活の為とファンの為にマスクを製作を続けるしかない事、それも『諸行無常』常に変化が繰り返されます。

最後に

どの時代にもその職人とマスクマンのストーリーが見えます。

作品に苦労が垣間見れると思いませんか?その年代が解った上でこの作品をこのレベルで作ったのか。など考える事で想いを馳せる事があります。

どの時代も『生き様』が反映されています。どの職人さんも成長があり衰退があります。

信念がある職人さんのマスクは良いなと思います。

雑談

各地で大雨で被害に遭っている方が多数います。

また寄付のチャリティーマスクを考えます。

もう手に入らない超貴重なマスクを放出するかも!?

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