イントロ
70年代から製作をしている職人さんはごく僅かです、その中の1人のラウル製の80年代中期のマスクの特徴です。
ラウルさんは製作当時のマスクから大きくスタイルが変わる事はありません。
極初期の頃からスタイルが確立されており、兄のビクトルさんや従兄弟のゲレーロインカさんが
既に良いマスクを製作していたので影響を受けたのでしょう。
80年代という時代
中期からスポルが出現してきて、マスクにも使用されるようになってきました。
ラウルやフリアはスポルを良く使用していました。
旧ラメも存在していましたがラウルはより強いスポルとジャージを使っているイメージです。
2重の拘り
80年代中期から2重にシフトチェンジしていきます。
スポル前の時代はジャージですが、普通のジャージ生地でもシングル生地も多くありました。
喉テープ

生地の2重は聞きますが、ラウルは喉テープも2重です。真ん中にステッチを入れています。年代によって2本の色違いステッチも存在します。
生地

生地も2重です。スプレーのりが存在していたのかはわかりませんが、縫い合わせをしています。スポルと薄いジャージを合わせておりゴアゴアにならない工夫がされています。
紐通しの裏張り

この個体は初めて見ました。ジャージ生地のみの裏張りが一般的ですが、何か黒い合皮を噛ませています。この処理は珍しいです。
ベロ

これは二重ではありませんが、80年代は逆にベロが2重ではありません。
90年代、2000年以降のタグ期にはベロも分厚い処理がされております。
最後に
逆に縁取り部分の革はシングルでした。
フィッシュマンや他のマスクも本革の下に更に合皮を敷くのが彼のスタイルです。
80年代はその処理をしない事もあったようですね。
2000年以降のマスクは革もベロも2重に揃えております。
更に鼻の巻き込み処理の所にも合皮を当てており重厚な作りです。
口開きのマスクの裏のテープまで2重です、、、、本当拘りの塊です
最も手の込んでいた時期は2000年頃のタグの付け始めの時期だと思います。
彼の中の最高の進化だと思われます。重厚で素晴らしいマスクです。
逆に2015年以降はジャージもシングルに戻り、ステッチも粗くなります。
その内2000年頃のラウルのタグの付け始めの素晴らしさを紹介します。
私とラウル
ラウルロメロはプエブラと同じぐらい好きな職人さんで多々影響を受けました。
色々研究した時期もありました。
年代別に見比べてみると彼の拘りの歴史を知る事ができます。
近年ラウル製のマスクは日本に来る事がないので既に製作が大分滞っているものかと思います。
現地の方に聞いても最近連絡を取っていないようで安否がわかりません。
高齢なので健康でいてくれたら何よりです。
あれこれ
ビンテージ系のマスクは高額です。
80年代のマスクはドスカラスを始め様々なルチャドールが使用しているのが確認できます。
グラビアでもすぐ分かります。最近は大仁田戦の最高レベルのドスカラスが出たりしました。
偉大なルチャの顔を作った偉人です。
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