数年前にラウルロメロの工房にお邪魔して、様々なお話を聞いたりしました。
内容はテクニカルな話よりも彼の歴史観を聞きました。
通訳がいなかったので全力で自分のスペイン語で頑張りましたが、ネイティブレベルだったら最高なのになと思いました。
日常会話程度では彼の哲学には深く入り込めませんでした。
彼は「破られない丈夫なマスク作り」をモットーにしています。
70年代中期からお兄さんビクトルさんからマスクを学び、
80年初頭にタグを付け始めました。
お兄さんを大変尊敬しており、お兄さんのマスクを見せて頂き、
色々説明してもらいました。
彼のマスクは年代毎に特徴があります。
80年代のラウルのマスクはシングル生地で、機能性を意識したマスクが多いです。紐通しやタグにもちょっと違いがあります。
タグの付かない更に古いマスクは更にビクトル寄りの作りです。
80年代後期からやや重厚化してきました。
目と紐通しに一枚合皮を敷く彼の技術が確立されてきました。
丈夫なマスクを意識しています。
更に2000年代は喉テープにタグが付きました。
この頃の彼のマスクは重厚を極めているマスクです。
太いテトロン糸、スポルとジャージの2重生地、ベロの中敷き、
鼻の合皮処理、、、もう見ると仮面の様な力強さがあります。
彼が目指していた『破られない』マスクの最終形が2000年前後のマスクだと思います。
様々な工程を増やした彼の完成形のマスクは手に取ると苦労と哲学が伝わってきます。
だからと言って、決して他の時代が劣っているわけではありません。
年代毎に特徴があります。その良さを知ると面白いと思いませんか?
時代は2010年代になりシングル生地のマスクも出てきました。
あの様な工程を踏むのは大変だったのでしょう。
しかし、それは90年代の彼の雰囲気を彷彿とさせます。
さぁ時代は2020年代です。
70年代から突っ走ってきた彼ももう高齢になってきました。
目も体も負担があると言っていました。
恐らく2000年のクオリティのマスクは難しいでしょうが、今の彼の世界を表現していると思います。
年代からその人の苦労と歴史を垣間見る事ができる事、今ラウルロメロをお持ちの方は是非眺めてみてください。
彼がいつまでも元気でいて欲しいと願っています。
連絡コーナー
zoomを使用してマスク座談会をしてみようと考えています。
極少人数でマスクの持論を聞かせて欲しいと思います。
clubhouseはなんか違うなって思い却下しました。
参加希望の方はインストールして頂ければと思います。
宜しくお願い致します。
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