はじめに
カネックはアントニオマルチネス、プエブラ、90年代になるとアロン、フリアなどになります。
近年のサンチェスなどは私にはわからないので、全盛期のマスクメーカーを中心に考えて解析していきます。
スパンコールのプライベート用の豪華なマスクです。
ぱっと見はプエブラですが、素材、縫製、など様々な角度から見ていきます。
横の模様もカッコよく美しいです。
目や模様の穴には色の違う革を挟んでいます。プエブラは小窓の処理は極薄い合皮を使用する事が多いです。
正面です。カッコいいですね。このスパンコールを付けるのは全てが手作業なので気が遠くなります。
当時はスパンコールが最も贅沢なマスクに位置していたと思います。
スパンコールは付ける方向や方法が色々あるようです。
これは頭頂部から渦巻状に連ねています。この処理はフリアのスパンコールで見た事があります。
スパンコールの煤け具合が時代を感じますね。
模様の一部分を巻き込んで処理しています。どうしてこの様な処理になるのでしょうか。
試合用からの変更でもあり得ないですし、謎です。
喉テープ、十字テープ、本体の生地は日本の物だと感じます。本体はニット生地。Tシャツに使われる様なニットです。
裏側です。本当に手の込んだマスクですね。無数のスパンコールを手縫いは気が遠くなります。
本体の縫幅は極めて細いです。下糸は表と同じ色。
鼻まで綺麗に縫い付けられています。裏張りもニット生地です。縁取り型紙や処理はプエブラを意識しているのがわかります。
ボンドがはみ出していますが、これは『コニシG17』と思われます。
引き続き裏側です。
鼻の所で裏張りが足されています。カネックの様に模様の大きいマスクを制作する時は、裏張りがシワが寄ってしまい、フィットしない場合が多々あります。縫い始めと裏張りの仮止めなどして工夫する必要があります。
紐通しの継です。この革が足りなかったのか私も継ぎは良くやります。
この部分の継ぎは珍しいですね。
ベロはスーパーストレッチを使用しています。ストレッチサテンです。二重にステッチされています。
紐通しのステッチは内側シングルです。
ファスナーのエンドポイント、左右で高さが大幅に違います。これは作り手としてあってはならない事です。ファスナーも安価な物と取り付けが甘い感じが致します。
まとめ
素材や縫製を一通り見た感じ、日本製のカネックと思います。
プエブラの型紙を使用しており、意識が感じられます。
しかし、本体のニット生地、マスクとしての処理の甘さが随所に見られました。
スパンコールの取り付けが凄い分本体の作りが残念な印象です。
これからも『解析シリーズ』が続きます。
「私のマスクも解析して欲しい」という方はご連絡してください。
忖度は無しですが、精一杯解析致します。