はじめに
よく「写メを送るのでどこ製か見て下さい」という依頼が良く来ます。
新鮮な気持ちで写真を見て解説を致します。
イレギュラーな仕様があると勉強になります。
この度、読者の方からマスクを送って頂き、そのマスクを解析するという最高のネタを提供してくれました。
私感ですが楽しんで頂ければ幸いです。
マルチネス製マスカラス
マスカラスのメーカーは多岐に使用していますが、老舗系ではマルチネスは使用していませんでした。
ドスカラスは初期使用していた様ですけど、マスカラスはロペス製でしたね。
まず素材は旧シルク生地とジャージの2重生地です。この時代はリスマルクも同じ処理をしており、
80年代のマスクです。
観察すると耳のハートがありません、つけ忘れたのか?鼻から付けなかったのか?
タグは立てタグです、紐通しもこの時代の特徴の山が大きめの物ですね、
ベロはジャージではなくリクラです。珍しい生地です。この裏張りが好きで生地屋を探していますが
似た生地も見た事はありません。
銀シルクは当時は沢山あった生地の一つです、安価で使いやすかったのでしょうね、プエブラも良く使っていました。1つ欠点があるとすれば劣化が激しく、80年代のマスクは今の時代まである物は状態が悪い物が多いです。
このマスクは生地が保たれていますので、保存状態も良かったのだと思います。
今で言う『アンヘルアステカ』の様な距離感が詰まった表情です。マルチネスがマスカラスを製作するとこんな感じなのか?!と思いました。
型紙を展開してみると、目のパーツが離れるタイプと考えます。これは他の職人にはないタイプです。
鼻の処理は鼻のバンドが三角に鋭く入っています。2重ステッチではありません。
バンドの丸くなっているのが僅かに見える事から目の距離感がうまく表現できなかったのでしょうか。
バンドの部分を縫ってから目のパーツを付けて縫っています。
マルチネスは時代により処理が違うようで、このタイプは鼻のバンドを付けて処理するタイプ。
日本式でしょうか、日本は喉テープで鼻をカチカチにして処理したりしています。
豊島さんの師匠はマルチネスとロペスと言っていました、この処理を喉テープにしたのでしょう。
この黄色のジャージの裏地はこの時代に見られました。
凄い技術は2重生地の作り方ですが、端を縫っている訳ではなく、スプレー糊で圧着しているわけでも
ありません。ひょっとしたら、糊で固定してその部分は劣化して取れちゃったのか?
もし縫い合わせも無く、糊も使わなかったら神業です。
大陸同士が極めて狭くセッティングされています。その先はMの中心です。
Mの形はブロック体の様なMです。下の切り込みも真っ直ぐです。
やや、お皿の大きさが大きくセッティングされている気がしますね。
総括
ざっと写真を撮り、アップして思った事を買いてみました。
もっとじっくり観察すると新しい発見があるはずです。
マルチネスマスカラスは90年代の物はたまに見た事があったものの、この時代の物は珍しいと思い
ました。
この時代のマルチネスマスカラスは珍しく、素材も絶版生地で資料として日本で見れるとは思いませんでした。